1031Exchangeは日本人でも利用可能か?キャピタルゲイン税の繰り延べについて

キャピタルゲイン課税を先延べ出来る便利な制度



アメリカには、1031Exchange(通称:テンサーティーワン)という制度があります。

1031 Exchangeとは?
投資用・居住用の不動産を買い換えする際に、売却をした際に出るキャピタルゲインには、課税がされますがその税の納付を先延ばしする事が出来るアメリカの税制度です。
詳しくはIRSのウェブサイトをご覧頂ければと存じます。
https://www.irs.gov/uac/like-kind-exchanges-under-irc-code-section-1031<

例えば、自宅を購入して、数年後、売却した際に、譲渡益(キャピタルゲイン)が発生したら、納税がありますが、再度、今の条件よりも良い物(例えば広い等)に買い換えた場合は、納税を先に繰り延ばす事が出来る制度です。
アメリカ政府としては折角の自国での不動産投資で得た売却益を、米国以外の別の国に資金移動されるよりは自国にそのまま投資してもらった方が良いという制度ですね。

なんて賢い制度でしょう!


1031exchangeの適用には、ルールがあり、それを守った買い換えにする必要があります。

例えば、同種の投資用の不動産であり、かつ、今よりも条件の良い物件であることや
買い換えするのに180日以内に買い換えを成立させるなど、様々な成約がありますので、米国内で再投資をする事を考えているならば事前に準備をしながら進めるのが良いでしょう。

手続きには手間は掛かりますが、納税を先延ばしにするメリットは多そうです。
この1031exchangeは、日本人でも利用ができるのでしょうか?

ハワイに投資した不動産でも使えるのか?

この1031exchangeの特例を日本人でも利用する事は可能です。

しかし、

日本と米国の税制には、違いがあり、私たち日本人は、日本側の税務処理も併せて考えねばならないのです。

それは

ハワイ不動産を売却した時に発生するキャピタルゲイン(譲渡益)については、日本の税務処理としては、
売却が確定した「その時点」で、発生している譲渡益に対する課税が発生してしまう事になります。

満5年以内の場合の短期譲渡税
満5年以上保有の場合の長期譲渡税

が、それぞれ課税されます。
米国での課税を繰り延べしても、日本側では課税される事を想定しておかねばならないのです。

米国では繰り延べでも日本では納税

簡易計算ですが、仮に、50万ドルで買った物件が100万ドルで売れたとします。
売却益である差額の50万ドルに対して、日本では、(満5年超の保有の場合)長期譲渡所得であれば、20%(課税長期譲渡所得金額×15%+住民税5%)の課税が掛かります。
ということは、

1031Exchangeを利用出来たとしても、日本では納税となりますでの、日本の投資家にとっては、あまり意味が無い制度とも言えます。

長期譲渡所得とは?
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3208.htm

ハワイ不動産売却時のその他の税金

キャピタルゲインが出ている事は理想ですが、その課税を繰り延べたいという想いも理解出来ます。しかし、売却時にキャピタルゲインが出ていようが出ていなくても掛かる税金が私たち日本人にはあるのです。

外国人が、ハワイの不動産を売却してそのまま国外に売却益を持って行って、さらに申告をしないでいる事になると、米国としては税金を徴収が出来なくなってしまう様な事を避ける為に、税の取りっぱぐれを防ぐ為に、売却確定時に、まるっと源泉してしまおうという米国流のやり方で

それは外国人源泉税と呼ばれる税金です。
アメリカでは、外国人が米国の不動産を売却した際に、外国人源泉徴収が行われます。

税率はなんと、売買価格の22.5%(連邦税15%+ハワイ州税7.25%)です。

仮に1億円の不動産の場合は、22.5%の、2250万円が源泉徴収されます。
そもそも、キャピタルゲイン課税を繰り延べるという話をしている場合ではないという事ですね。

※上記計算は簡易計算です。詳細はハワイ州税理士・専門家にお尋ね下さい。
※専門家のご紹介はお気軽にご相談下さい。

源泉税は、取られっぱなしなの?
とはじめて聞くとそう思えますが、米国確定申告により、取得経費などの経費を除き、計算した上で場合によっては還付か納税となります。よっぽどのキャピタルゲインが出ていない限りは基本還付となりますが、不動産事業を長期に渡りハワイで行っていた場合、米国の減価償却計上により簿価が下がっているので、キャピタルゲインが出やすくなっています。

長期保有+不動産事業

の場合は、キャピタルゲイン課税の対象はかなり大きくなると言えますので、場合によっては、源泉徴収の実際の還付額は大きく異なります。

こうして

米国の制度には、日本人にとっては魅力的な制度がありますが、うまく利用出来るものもあれば、そうではない事もございますので、しっかり理解し、準備をしてから購入や売却をしたいところですね。米国の税務、国内税務についても、お気軽にご相談下さい。

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