知らないと危険な、為替差益税・贈与税|ハワイ不動産の税金の話

相続する前に子供に贈与したい!

ハワイイメージ
ハワイ不動産「贈与」すると日米でどんな税金が掛かるのか?

もちろん贈与となれば、
贈与税が掛かります。

GIFT TAXと呼ばれる税金です。

例えば、
ハワイのコンドミニアムを所有する日本に居住するオーナー様が、日本に住むお子様または孫に贈与(名義変更)した場合。

この場合、アメリカ側では贈与をする方、日本側で贈与を受ける方の課税が発生します。

日米の違いは、納税する人が別々と言う点。

納税者の違いについては、実は、相続にも似たような事例がありまして、日本は相続財産を受け取った人が納税しますが、米国は亡くなった方に納税の義務が生じます。
遺産税という考え方ですね。

いずれにせよ
ここで重要なのは、日米租税条約というものが日米の間では存在する事により
それぞれの国で二重で納税する必要はなく、アメリカで納税した同種の税金は、日本で納税する部分から控除されるという点がポイントです。

簡単な例で説明すると

日本側の課税額が仮に500万だったとして
アメリカで既に、300万納税していたら、残りの200万円を日本で納税する。
という様になります。

これが所得税でも同じ考え方にはなります。

賃貸収入が大変好調で、米国で納税が発生した場合は、日本ではその部分を控除する事が出来るのです。
外国税額控除という制度です。

日米租税条約とは

所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約
(略称 日・米租税条約)
平成15年11月6日 ワシントンで署名
平成16年3月19日 国会承認
平成16年3月30日 東京での批准書の交換
平成16年3月30日 公布及び告示(条約第2号及び外務省告示第113号)
平成16年3月30日 効力発生

この条約が結ばれる前は、なんと二重課税が発生していたなんて・・・・

夫婦間で贈与すると

その他の事例もご紹介すると、米国では、夫婦というものは経済的には「一体」であるという考えです。
よって、夫婦間の贈与は非課税という考え方になります。

あくまでもこれは米国市民同士なのです。

日米の文化の違いは税制にも大きく違いで出て来るのです。

ジョイントという考え方

米国では所有名義に、持ち分割合の規定の無い、夫婦合有財産権や、ジョイントと呼ばれる形式があります。
ご夫婦または共有者のどちらか一方に、万が一があった場合に、その亡くなった方の持ち分は残された名義人の方に委譲されるのです。

なんとも合理的な名義ですね。

よって、米国の場合不動産などの名義は、夫婦共有名義で登記されているケースや、これ以外には富裕層であれば、トラスト(信託)という所有形態が多く見られます。

私たちの様に、米国に非居住者の方が、夫婦共有名義で持つ事も出来ます。
また、子供の名義を入れて家族でタイムシェアなど所有されている方もいらっしゃいますが、実はここには落とし穴もあるので注意が必要です。

共有持分が無いから持っていないのでは無く、見なし持分として、按分して持っていると見なされるのです。
と言う事は、タイムシェアとか将来は子供に渡せるからいいね!と気楽に名義を決めてしまうと、子供にその持分割合を贈与した事になります。

米国人から見たら、単独で所有する事のリスクを回避する為に、共有選択する利点は大きいですが
日本人の場合は、デメリットもあるのです。

想定外の為替差益課税とは??

次にご紹介するケースは、想定外の課税に困ったという事例です。

2008年〜2009年に掛けてサブプライム問題からリーマンショック後の期間に超円高時代もありました。
この時、多くの日本人の方は円からドルへのドル資産への移行をされた方も多いはず。

例えば
円をドルにしてハワイ不動産購入へ
円をドル預金

ここで大きな問題が起こったのです。
円高の際に円をドルにして資産運用していた銀行口座のドルを使って、
ハワイの不動産を買おうと思った時に遭遇したのが、為替差益課税です。

なんだそれ?って思われた方もいらっしゃるかと存じます。

為替差益に関する法令について

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6325.htm

[平成31年4月1日現在法令等]
外貨建ての取引の売上金額や仕入金額の円換算は、為替予約がある場合を除き、原則として売上げや仕入れとして計上する日の電信売買相場の仲値によることとされています。 このため、これらの売上金額が入金された場合や、仕入金額を支払った場合には、売上げや仕入れに計上した日と実際に円貨で決済した日との為替レートの差により、いわゆる為替差損益が発生します。 外貨建取引に伴う消費税の取扱いにおいては、原則として資産の譲渡等を行った日又は課税仕入れを行った日の電信売買相場の仲値で換算した円貨による金額を売上金額又は仕入金額とすることになり、決済時との差額は調整する必要はありません。
また、製造業者等が商社等を通じて行った輸出入取引において発生する為替差損益の一部又は全部を製造業者等が最終的に負担等することになっている契約、いわゆるメーカーズリスクにより発生する計上時と決済時との差額は、実質的に為替差損益となりますから、資産の譲渡等の対価の額又は課税仕入れの対価の額に含まれません。(消基通10ー1ー7、11ー4ー4)

ドル預金口座からアクションには注意!?

法令の日本語は難しいですね・・・
では、もう少しわかりやすい事例で説明してみましょう。

例えば、
1ドル=85円のタイミングでドル預金をしていたドル資金をつかって、
ハワイの不動産を「ドル」で購入しようとした時・・・
何と、日本の税務署から指摘されたそうです。

税務的な目線で見るとこうなるそうです。(税理士談)
1ドル=85円の時に持ってたドル資金を使って、ハワイ不動産を買ったという行為については

ドル預金から一度「円転」(円に戻す)して、そしてドル転(更にドルに転換)し直して、ハワイ不動産を購入
をしたという見方をするそうです。

何とも複雑な感じですが・・


1ドル=85円で100万ドルを持っていたとしても(当時のレートで約8500万円)
105円で円転した時には、(105円のレートで再計算すると約1億500万)
この為替差益の約2000万円に対して為替差益課税されるという事です。
※簡易計算しております。手数料等は含みません。

持ってたドルを使ってそのままドルで払っただけなのに!
と、いくら言っても駄目なようです・・・

【参考リンク】
諸外国の裁判例にみる為替差損益に対する課税問題の動向 (財務総合政策研究所より)
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2016_09.pdf
外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い (国税庁サイトより)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/39.htm

国税庁のサイトを見る限り、A銀行のドル口座からB銀行のドル口座に移すだけなら為替差益課税の対象からは外れる様ですね・・

国際税務に詳しい専門家のご紹介

該当するかどうか分からないので相談したいという事については専門家のご紹介も可能です。
また、ハワイ不動産に関して、個別相談なども随時行っておりますのでお気軽にご相談下さい。
※税金の詳細については必ず専門家にお尋ね下さい。
※お客様の資産背景などにより異なります。

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